![img](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/masatora_bd5/20250211/20250211182656.jpg) ## 冬は去り、テニスの炎と血が蘇る かつて『Virtua Tennis』や『Top Spin』シリーズで遊んだプレイヤーにとって、近年のテニスゲームはどこか物足りないものが多かった。 [「冬の時代」テニスゲーム界の現状とおすすめ?タイトル](https://masatler.hatenablog.com/entry/2023/02/25/114448) でも書いた通りテニスゲームは「冬の時代」のようで、リアル系もアーケード系もなかなか決定版と呼べる作品が登場しなかった。 『TopSpin 2K25』、ここまでとは期待していなかった。半ば義務としてプレイしてみると「これは久々にいいテニスゲームだ」と感じた。特に素晴らしいのが、**「リアルに感じさせるウソの上手さ」** である。 > [:contents] <!-- more --> ![img](https://static0.gamerantimages.com/wordpress/wp-content/uploads/2024/04/how-to-level-up-quickly-in-topspin-2k25.jpg) ## 「リアルさ」の正体は上手なウソ 『TopSpin 2K25』はリアルなシミュレーションとして評価されているが、「リアルなテニス」ではない。しかしプレイしていると、実際の試合をしている錯覚に陥る。それはゲームのメカニクスにある。 ### 1. 「自分のせい」と思わせるミスの仕組み ショットを打つ際にタイミングを合わせるメーターが表示される。このメーターは、適切なタイミングでボタンを押せば最高のショットが出るが、少しでもズレるとミスになったり威力が落ちたりする。 ![img](https://cogconnected.com/wp-content/uploads/2024/03/topspin-2k25-preview-2.jpg) これが秀逸なのは、ミスをしても「自分のせい」と思えること。ほかのテニスゲームでもキャラクターの能力やタイミングで結果が左右されるが、『TopSpin 2K25』では明確に可視化されていて、操作次第で結果が変わる。実際にはベストショットを打つことは、人間の処理速度では無理なこともあるのだが、それでもミスをしたとき「ゲームのせい」ではなく「自分の操作の結果だった」「惜しかったのに」と納得しやすい。 ### 2. 「本当にすごいショットが決まった」と錯覚する快感 エースショットや決め球が入ったときの爽快感は、大きな魅力。簡単には成功しないからこそ、狙ったとおり(または偶然)に決まったときの気持ちよさが際立つ。 たとえば、試合中に自分の想定以上のショットが決まる瞬間がある。「今の、プロみたいやん」と感じる。自分の操作の結果だと勘違いする。まさにゲームの作り込まれた「ウソ」の部分。実際にはプレイヤー操作とキャラクターの能力、物理エンジン、相手キャラの反応など複雑に絡み合っているのだが、プレイヤーに「自分がすごいプレーをした」と思わせるメカニクスに調整されている。 ### 3. テンポの良さとスキップのしやすさ 試合のテンポも絶妙。プレイの合間の演出が多すぎず、スキップも簡単にできる。地味なポイントだが、テンポの悪いゲームはそれだけでストレス。『TopSpin 2K25』はプレイのリズムを崩さず、試合に集中しやすい。 ## 負けても楽しい?勝ち筋を探す面白さ 個人的に『TopSpin 2K25』を評価しているポイントは「負けても楽しい」こと。これは一般的な評価ではないかもしれない、試合中に勝ち筋を探して戦うのが面白い。 もちろん、まったく勝てないとフラストレーションが溜まる。戦略次第でチャンスを作れるようになっている……と言いたいところだが、なんどやっても勝てないこともある。それでも相手の弱点を見つけたり、自分のプレイスタイルを調整したりと、ただボタンを押すだけのゲームではないところがとてもたのしい。 ## モードと演出:キャリアモードは課金臭が強い? ゲームモードは、エキシビションマッチが一番楽しめている。キャリアモードもかなりやり込んだが、「課金臭が強い」 と感じて途中でやめてしまった。成長要素を楽しむのも好きだが、課金が絡んでくると単に面倒な作業に成り下がってしまう。 オンライン対戦もかなり楽しかったが、課金してまで続けようとは思えなかった。プリセットの選手で試合をするのがいちばん気軽に楽しめている。 演出に関しては、「まあまあ」。今っぽいし、たしかに盛り上がる。試合の流れを邪魔しないバランスにはなっている。 ## 唯一の不満点:試合終了後のスクショ問題 『TopSpin 2K25』には、ほぼ不満がないが、**唯一気になったのは試合終了後のスクショ** だ。記録としてスクショを撮りたいが、必要な情報が表示されていないことが多い。これは地味に困るポイント。 ## リアルのテニスよりも楽しい? 困ったことがひとつ。『TopSpin 2K25』をプレイしていると、**実際のテニスより楽しい** 。 リアルなテニスは(まあまあ上手いんですけど)、年齢や練習時間を考えると、残念ながらもう劇的な上達はなさそう。『TopSpin 2K25』ならプロ級のスキルで、**純粋にテニスの楽しさだけを味わえる**。戦術も工夫して、勝てなかった相手に勝つ楽しみだってある。「もうこれでいいんじゃないか」と思ってしまう自分が……。 ## まとめ:リアルを感じさせるウソの妙 『TopSpin 2K25』は、久しぶりに「ちゃんとしたテニスゲームが出た」と思わせてくれる作品だ。 特に「リアルに感じさせるウソ」が絶妙で、 - **ミスを自分のせいと思わせる仕組み** - **本当にプロのようなショットが決まる感覚** - **試合のテンポの良さ** が見事に作り込まれている。 テニスゲームの冬の時代は、本当に終わったのかもしれない。 ## リンク - [トップスピン 2K25 公式ウェブサイト|『TopSpin 2K25』](https://topspin.2k.com/ja-JP/2k25/) - [『TopSpin 2K25』レビュー:リアルに感じさせるウソの上手さ - 虎(牛)龍未酉2.1](https://masatler.hatenablog.com/entry/2025/02/11/183143) でも公開しています