[[Obsidian]]の同期手段を、iCloud Driveから[[Obsidian Sync]]に変更する手順をまとめました。
## 前提
- 複数デバイスでvaultを同期している
- プライマリはデスクトップ、セカンダリはモバイル
- この記事において、プライマリはmacOS、セカンダリはiOS
## iCloud Driveでの同期
そもそも複数デバイスで[[Obsidian]]を同期して使用する場合、設定を同期するとトラブルの温床となりがちです。したがって、==デバイスごとに設定を分離==しておくのが王道です。
iCloud Driveの場合は、下図のようになります。
<img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/masatora_bd5/20240103/20240103231039.png" width=80%>
vault全体をiCloudで同期し、各デバイスで使用する設定ファイルを `設定 > ファイルとリンク > 設定フォルダの優先を切り替える` で明示的に指定します。
プライマリではデフォルトの`.obsidian`を使い、セカンダリでは`.obsidian-iphone`を指定します。iCloudは両方の設定フォルダを同期しますが、各デバイスでは片方しか使わない、という状態になります。
## Obsidian Syncでの同期
Obsidian Syncでも、==デバイスごとに設定を分離==するのが王道ですが、実現手法が少し違います。
<img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/masatora_bd5/20240103/20240103231046.png" width=80%>
プライマリでデフォルトの`.obsidian`を使い、セカンダリでもデフォルトの`.obsidian`を使いますが、**この設定フォルダ(.obisidian)は同期しない**のです。
プライマリにもセカンダリにも`.obsidian`フォルダがありますが、その中身は異なる状態になります。
このように両者の同期の実現方法が微妙に異なるため、iCloud Driveから[[Obsidian Sync]]に切り替える場合(あるいは逆の場合)は注意が必要です。
## 目指す姿
- [[Obsidian Sync]]からスタートし、今後も使い続ける場合は、以下は無視してOKです。
- iCloud Driveからスタートし、[[Obsidian Sync]]に引越し、今後も使い続ける場合も、以下を無視してOKです。
- [[Obsidian Sync]]からスタートし、iCloud Driveに引越す場合、詳説できませんが同様に考える必要があります。
- iCloud Driveからスタートし、[[Obsidian Sync]]に引越すが、==iCloud Drivenに戻るかもしれない==場合は、下記の姿を目指すのが良いと思われます。
<img src="https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/masatora_bd5/20240103/20240103231054.png" width=80%>
iCloud Driveにあった`.obsidian`と`.obsidian-iphone`の両方を引越ししますが、これらの設定フォルダはObsidian Syncで同期しません。
プライマリは設定フォルダとして`.obsidian`を使用し、セカンダリは`.obsidian-iphone`を使用します。
## 引越しの手順その1
正しい引越しの手順は(おそらく)下記のとおりです。
> [!warning] 実際に実施しての検証はできていないので、自己責任でお願い致します
[Obsidian Sync and third-party services](https://help.obsidian.md/Obsidian+Sync/Obsidian+Sync+and+third-party+services)にあるように、プライマリ(macOS)とセカンダリ(iOS)それぞれでvaultを引越し、リモート保管庫に紐づけます。
手順化すると下記のようになる(はず)です。
1. プライマリとセカンダリでの同期を完了させ、[[Obsidian]]アプリを終了する
2. iCloud Driveでの同期処理が走らないよう、プライマリとセカンダリのネットワーク接続を切る
3. プライマリのvaultを[iCloud Driveフォルダからローカルの別の場所に移動](https://help.obsidian.md/Obsidian+Sync/Obsidian+Sync+and+third-party+services#Desktop)
4. セカンダリのvaultも[iCloud DriveフォルダからMy Device領域に移動](https://help.obsidian.md/Obsidian+Sync/Obsidian+Sync+and+third-party+services#Mobile)
5. プライマリで同期の設定(`.obsidian`を指定)
6. セカンダリで同期の設定(`.obisidian-iphone`を指定)
## 引越しの手順その2
しかし、プライマリをiCloud Driveから外してしまい、セカンダリからvaultが消えてしまった場合、下記がセカンドベストの手順となります。
1. プライマリのvaultを[iCloud Driveフォルダからローカルの別の場所に移動](https://help.obsidian.md/Obsidian+Sync/Obsidian+Sync+and+third-party+services#Desktop)
2. プライマリで同期の設定(`.obsidian`を指定)
3. (セカンダリのiCloud Driveにはvaultがなくなっている)
4. プライマリのローカルに移動したvaultを、USB接続接続したセカンダリのObsidianフォルダにコピー(下図)
5. セカンダリで同期の設定(`.obisidian-iphone`を指定)

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実際に行った手順を、もう少し詳細に記載します。
### プライマリのvaultをiCloud Driveフォルダからローカルの別の場所に移動
[Obsidian Sync and third-party services > Desktop](https://help.obsidian.md/Obsidian+Sync/Obsidian+Sync+and+third-party+services#Desktop)に従って、macOSを設定。
- 開いているvaultを閉じる
- File > Open Vault... > vaultの右の… > 保管庫を移動...
- `iCloud/Obsidian/`から、`~/Documents/Obsidian/`に移動

### プライマリで同期の設定
macOSのObsidianから
- Prefereces > コアプラグイン・同期 > リモート保管庫 > 選択 > 保管庫を新規作成
- リモート保管庫の名前をつける(ローカル保管庫の名前と違っても良い)

- 設定 > コアプラグイン・同期 > リモート保管庫 > 接続
- リモート保管庫とローカル保管庫を接続するので、下記画像のような警告が出る。リモート保管庫はカラなので、気にせず接続

公式ドキュメントによると「同期はまだ待て」。プライマリの同期設定を先に行う。
[Initially adjusting your Sync settings](https://help.obsidian.md/Obsidian+Sync/Select+files+and+settings+to+sync#Initially+adjusting+your+Sync+settings)に従って設定を行う。
- 設定 > コアプラグイン・同期 > 選択的同期 で音声と動画以外は同期
- 設定 > コアプラグイン・同期 > 保管庫の設定を同期 はOFF
- Obsidianアプリを再起動←重要
- 設定 > コアプラグイン・同期 > 同期ステータス > 再開
### プライマリのローカルのvaultを、セカンダリにコピー
- プライマリのvaultを別フォルダに複製し、不要なフォルダを削除
> [!note]- 削除したフォルダとその理由
> `.obsidian`および`.git`, `.gitignore`を削除。
> `.obsidian`が135MB、`.git`が270MB。ほかのvaultのファイルは90MBとすごくアンバランスだったため。
- プライマリとセカンダリをUSBで接続し、valltをセカンダリのiPadのObsidianフォルダにコピー

- セカンダリでObsidianアプリを起動し、vaultを開く
- 設定 > Obsidianについて > 設定フォルダの優先を切り替える > `.obsidian-iphone`と入力し、Obsidianを再起動
- 設定 > 同期 > リモート保管庫を選択し、暗号化パスワードを入力
- 同期設定はデフォルトのまま(選択的同期:画像は同期、他は同期しない。保管庫の設定を同期:すべてOFF)、同期を再開